ゼフィックスを使用したb型肝炎治療

急性・慢性b型肝炎の治療の中心となっているのが、核酸アナログ製剤です。日本で一番最初に保険適用された核酸アナログ製剤はラミブジンで、ゼフィックスが使用されています。2000年以降、b型肝炎の治療成績は飛躍的に向上しており、ここでは、ゼフィックスの作用機序やその効果、使用時の注意点などについて詳しく紹介しています。

どのようにして効くのか

現在の慢性のb型肝炎の治療において、核酸アナログ製剤の第一選択薬は、エンテカビル、テノフォビル、テノフォビル改良型の3種類です。しかし、古くからあるラミブジンやアデフォビルも使用されています。従来、慢性のb型肝炎の治療には、ステロイド離脱法やインターフェロン療法などがありますが、その効果が必ずしも高いということではありませんでした。

そこで登場したのが、もともとHIVの治療薬とした開発された、逆転写酵素阻害薬であるラミブジンです。b型肝炎ウイルスに対しても、増殖抑制効果があることがわかり、日本では2000年に承認されました。ゼフィックスという商品名のものがラミブジン療法では使用されており、b型肝炎ウイルスの遺伝子の合成を直接抑えてくれます。

b型肝炎ウイルスは、肝細胞に感染すると、ウイルスの遺伝子が核の中に取り込まれ、不完全な鎖の状態であったウイルスDNAが完全体になるウイルスです。そこからさらに、輪ゴムのようにねじったような形状のDNAになります。

この遺伝子を鋳型として、ウイルスを構成しているたんぱく質やウイルス遺伝子が複製され、増殖していく仕組みです。その増殖する際に、基質として使用されるのが、デオキシシチジンですが、ゼフィックスは、それに類似した構造をもっている薬剤です。

そのため、ウイルスDNAが合成されていく途中の過程で、ウイルス遺伝子の形成に欠かすことのできない逆転写酵素に結合して、それ以上のウイルス合成を不可能にしてしまいます。参考サイト…b肝炎訴訟

その結果、ウイルスの増殖を抑えて、ウイルス量を減らしていくことができます。

治療効果はどれぐらいなのか

ゼフィックスは、慢性のb型肝炎におけるウイルスマーカー、肝機能、肝組織像の改善のために使用する薬剤になります。成人の慢性のb型肝炎の人であれば、ゼフィックスを一日に一回、100mg経口投与します。肝機能としてALTの値の改善は7割ほど、肝組織像の改善は9割と高いです。

通常、核酸アナログ製剤は、12ヶ月間の経口投与を続け、その効果により、治療方針を再検討していくことになっています。ゼフィックスの使用例では、投与2週目からウイルス量の低下がスタートし、8週目にはウイルス量が検出感度以下になる人が多く、1年投与のウイルス量の陰性化率は、およそ6割です。

しかし、投与終了後もb型肝炎ウイルスの活動を完全に抑えこめる例は1割です。こうしたことから、肝機能としてのALTの値は高い頻度で改善を望めるため、肝細胞の急激な破壊やb型肝炎が急速に進行していくこと、あるいは劇消化のリスクを下げるには、非常に有効な薬剤であることがわかっています。

ですから、重症肝炎や劇症肝炎になった場合、まずはゼフィックスを投与して、ウイルスの増殖を抑え、肝機能と肝組織像の改善につとめることが多いです。副作用は重篤なものはないですが、服用を中止するとウイルス量が増殖することもあるため、医師の厳重な管理のもと、ゼフィックスによる治療をおこなう必要があります。

これはほかの核酸アナログ製剤においても同様です。

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治療効果が思わしくないことも

ゼフィックスのデメリットとして挙げられるのが、経口投与の長期化により、耐性ウイルスが出現することです。どの核酸アナログ製剤にもいえることですが、長期投与が基本となります。ただし、耐性ウイルスの出現率に関しては、さまざまです。

そのため、定期的にウイルス量をモニタリングしていくことが重要です。もし、薬剤耐性ウイルスが出現した場合には、ほかの核酸アナログ製剤を追加して対応していきます。

ゼフィックスと併剤するのは、主にアデフォビルのヘプセラという薬剤です。

この2剤併用により、薬剤耐性株ができにくくなることがわかっています。ヘプセラ単体では、治療効果が低いため、ゼフィックスとの併用のためにある核酸アナログ製剤と考えても問題ありません。また、ゼフィックスの治療効果が不良の場合には、安全性を考慮して、テノボビル改良型への切り替えが推奨されているのが現状です。

治療のスタートが単剤だった場合には、単剤への切り替えになりますが、最初からゼフィックスとヘプセラのように併剤した場合には、変更するときも2剤併用が一般的です。その際は、エンテカビルとテノフォビル改良型という組み合わせになります。

新薬じゃないのに使用する意義は

ゼフィックスを使用する意義は、最も古くから使われており、妊婦に対する投与実績が多く、もっとも薬価の安い核酸アナログ製剤であることです。ゼフィックスは早くからHIV患者に対して使用されていたこともあり、妊婦に対する使用実績が非常に多いです。

また、妊娠後期において、ゼフィックスを使用して母子感染を防ぐこともできます。胎児への安全性が高いという点では、新薬のテノフォビルも有効です。耐性ウイルスの出現率も7年間投与してもゼロです。ただし、長期投与により腎機能障害や低リン血症、骨密度の低下などが考えられるため、治療スタート時の検査で腎機能障害などが発見された場合は、使用できません。

加えて、こうした点を考慮して副作用を少なくしたのが、現時点ではもっとも新しい核酸アナログ製剤であるテノフォビル改良型です。薬剤耐性や抗ウイルス効果は、テノフォビルとそう変わりありません。ただし、今のところ、胎児への安全性は確認されていないので、妊娠を望む場合にはゼフィックスもひとつの選択肢として有効になります。

限定的な使い方をする

治療法には、インターフェロン療法と核酸アナログ製剤を組み合わせたシークエンシャル療法というものがあります。この連続療法は、ゼフィックスが登場した時代からあるものです。ゼッフィックスは6ヶ月以内の短期投与であれば、耐性の出現は一過性であるため、急性肝炎を含め、投与が限定的な期間であれば、経済面を考慮しても効果的です。

シークエンシャル療法でも、ゼッフィックスとペグインターフェロンとの組み合わせは有効なことがわかっており、ウイルス量の陰性化までの限定的な使用となるので、薬価を抑えたいときにひとつの選択肢となります。